最新語録―教えず育てることが指導の真髄。H16.11

静岡学園サッカー部 井田監督

●取材日:2003年12月19日
●プロフィール

1942年満州生まれ。
帰国後静岡県焼津市で育ち、静岡市の城内中から静岡高、慶応大学へ進学。
大学4年時に慶応高を指導したことで目覚め、就職した銀行を5年で退社してプロ指導者の道へ。
1972年(昭和47年)12月から静岡学園高の指導を始め、高校選手権に6度出場。
1994年(平成7年度)には初の全国制覇を達成した。

■静岡学園の特長を教えて下さい。

まあ、静岡学園の場合はチームの強さだけでは無くて、ほとんど中学時代に無名の選手が3年間で成長してJリーガーになったり、代表に選ばれたり、静岡県の国体代表に選ばれたりってことで、そういう素晴らしさが静岡学園にはあるね。だから、過去Jリーグができて10年になるけど、すごい数の選手を送り出しているよ。これが静岡学園のひとつの特長だね。そういう選手を集めるために、毎年セレクションを8月の終わり頃、2日間かけてやるんだけど、全国から140〜150人ぐらい来て、その中から15〜20人ぐらい選ぶんだ。そうやってセレクトされた選手を3年間で育てていくんだ。

■選手の活躍状況を教えて下さい。

今年だけで も3人のJリーガーが誕生している。松下幸平(DF)がジュビロ磐田に行ったし、小林祐三(DF)が柏レイソル、横山拓也(FW)が浦和レッズに決まったね。去年は谷澤達也(MF)で、一昨年は永田充(DF)、2人とも柏レイソルに所属している。この2人は日本ユースの代表にも選出されて活躍してるよ。こないだのU-20の試合ではベスト8でブラジルに負けちゃったけどね。U-18の方では、先ほど紹介した松下幸平(DF)と小林祐三(DF)の2人が日本代表になってるし、今年(2003年)の暮れに韓国へ行くU-18の中では、今2年生の狩野健太(MF)が日本代表で参加しているよ。あと、1年生ではゴールゴールキーパーの杉山が日本代表候補で、こないだもヨーロッパに行ってきたところだ。まあ、こんな感じで、無名の選手が3年間という短期間で育って、大きな舞台で活躍するというところが、静岡学園の大きな特長かな。

■インタビュア ... 馬場直樹(SRIハイブリッド株式会社)

語録 他のHPより
 静岡学園 監督・井田 勝通(いだ まさみち)
 1942年満州生まれ帰国後静岡県焼津市で育ち静岡市の城内中から静岡高、慶応大学へ進学大学4年時に慶応高を指導したことで目覚め、就職した銀行を 5年で退社してプロ指導者の道へ。昭和42年(1972)年12月から静岡学園高の指導を始め、高校選手権に6度出場。平成7年度(1994年)には初の全国制覇を達成した。
 静学の井田勝通監督といえば高校サッカー界では知らぬ者のない有名な指導者だ。30年あまりに及ぶ指導の中で一貫して南米流のテクニック重視の攻撃サッカーを志向し続け、現ヴィッセル神戸の泰年&知良の三浦兄弟をはじめ数々のJリーガーを輩出してきた。とにかく、井田監督ほど技術・テクニックへのこだわりを持った指導者はいない。井田監督はそのサイドからの攻撃よりも最もディフェンスが厚い中央突破を優先するという。セオリーはセオリーであって、絶対ではない。その技術へのこだわり、志向がなければ言える言葉ではない。何事であれ、30年間も一途にこだわりぬけばそれが一つの哲学に昇華する。そうであるからこそ、これまでも井田流の哲学を慕って多くの選手が静学の門を叩き、これからも有望選手を輩出し続けるのだろう。サイド攻撃を封印し、あくまでも中央突破にこだわり、技術・テクニックで相手を捻じ伏せる攻撃サッカーにこだわる。バランスや組織、戦術が重視される近代サッカーにおいて、さらに日本サッカー協会主導による指導マニュアルが浸透して型にはまった指導者、選手が多い中で、井田監督そして静岡学園の存在は一際異彩を放っている。
●語録●
 もともと、子どもの考え方や発想というのは柔軟なものだ。だから子どもたちは、試合中にボールを持てば、思い切りドリブルして、相手の選手を一人、二人と抜いてみたいと考えて実行する。ところが、1対1とか1対2という場面が多くなればなるほど、ミスもたくさんするし、負ける回数も増えてくる。確かにドリブルよりもパスを多用したほうが、より速いし安全だというのは正論だ。そのほうが勝つ確率は高くなる。でも、それを強要するのは、大人のコピーを作ることになる。本来、子どもが持っているセンスだとか、想像力だとかを無視してしまっていると思う。
●語録●
 美しいサッカーの基礎になるものは、「確実にボールを扱う、自由自在のテクニック」だ。そのテクニックを高めるには、本人の素質と絶え間のない練習が欠かせない。練習することによって技術を磨き、それがプレーに確実さをもたらす…。そのためには、目標をきちっと定めて、繰り返し、繰り返しの練習を行わなければならない。試合になれば、練習で「絶対に確実に出来る技術」しか出来ないものだからだ。
●語録●
 サッカーのテクニックを身につける練習は、サッカーをして、しかもボールを使うドリブルを通してやるべきだ。各人がボールを持って、ドリブルをし、フェイント、トリックなどを練習することだ。ドリブルやフェイントの練習には長い時間がかかる。才能も大きくものをいう。子供のときに覚えられなかったことは、大人になってからではもう遅く、身につかないものだ。小さい時から、何千、何万回と練習し、それを実際に試合の中でやってみることだ。スーパースターといわれる偉大なサッカー選手は、「ボールから自由になっている」ものである。場所や時間や敵といった外的な条件が、ボールコントロールをする際に、じゃまなうちはまだまだ三流だと思って、ひたすら精進すべきである。
●語録●
 大事なことは、目先の勝利を追うことよりも、いつも先のことを考えながらチームを育て、選手を育てていくことなんです。
●語録●
 チーム作りで、必ずしなければならないことは「選手を育てる」ことである。選手を育てる上でのスタートは、まず個人技をつけることである。個人技の基本は、ボールコントロールとドリブルである。これらが身についていなければ、チーム作りはできない。しかし、これは時間がかかる…。
●語録●
 同じくらいの素質なのに、同じように練習してて、うまくなる者との差が出てくるのは、「人よりも豊かな材料で考え、工夫して練習しているからだ。ドリブルにしても、パスにしても、人より豊かに考え、工夫してやってみているからなのだ。」
●語録●
 ワールドクラスのスターたちのしなやかで流れるようなボール扱いは、才能と本人自身の努力の結果として生まれたものだ。人はもって生まれた才能や素質だけでは決して一流にはなれない。絶え間のない練習、勤勉努力、刻苦精励…。要はサッカーが好きで好きで、うまくなりたいと、いつもくり返しくり返し練習するということだ。
●語録●
 体も技術もない日本サッカーが、激しさやスピードを前面に押し出した決死隊のようなサッカーをしているうちは、世界の仲間に伍せるわけがない!「ゆっくりでいいじゃないか。ゆっくり、きっちりと…。」
●語録●
 ボールを持ったら、「シュートまで相手に渡さないこと」だ。そのために前へ行こうが、横へ行こうが、後ろへ行こうが、ゆっくりやろうが構わない。子供の間はこうして、ボールをしっかり持てることを、ドリブルでボールをしっかり運べることを、良いパスで仲間につなげることを、ゲームの中で、相手にじゃまされながら身につけていくことが大切だ。大人のチエを入れすぎて、勝ち方を教えるのが間違いなのだ。
●語録●
 サッカーはテクニックの上達によって進歩、発展していくものだ。よりテクニックのすぐれた選手がいるチームが勝つだろうことは確信できる。だが、そのテクニックを生かすのがインテリジェンスだ。いくらシュートがすぐれていても、ドリブルがどんなに上手でも、たとえ長いサイド・チェンジのパスを正確に送れたとしても、ただそれだけではだめだ。「そうした自分の個性」をゲームの中で生かす、チームの中で生かし、輝かすセンスが加わらなければ、インテリジェンスがあるとはいえない。
●語録●
 手以外、体のどんな所を使ってでも、とっさに、苦もなく、ボールをコントロールできることが、一流選手への第一歩だ。となれば、どんなに狭い場所でも、どんなに短い時間でも、たとえ敵がいようとも、ボールが楽に扱えるようにしなければならない。ボールコントロールの能力で、選手のレベルがわかる。
●語録●
 自分たちのサッカー=選手たち自身でやる
ドリブルだけを要求するコーチも、ダイレクトプレーだけを要求するコーチも成功しない。試合になったらコーチは黙って、選手に一つのことだけを守らせればいい。『いつも周囲をよく見て、その瞬間に、味方のチームにとって最高のプレーをやれ!』